日時:9月24日(土) 14時~17時
会場:大阪大学会館会議室 アクセスマップ キャンパスマップ 前半:石川禎浩著『革命とナショナリズム 1925-1945』合評会(14:00~15:30) ・根岸智代会員(大阪大学大学院) 書評報告① ・副島昭一会員(和歌山県立図書館) 書評報告② ・石川禎浩会員(京都大学) コメント ・自由討論 後半:石川禎浩会員 研究報告(15:40~17:00) 報告タイトル「中共“一大”史研究の資料問題について」 【要旨】 1921年に開催された中国共産党第一回大会(中共“一大”)にかんする研究は、1949年以降の中国で、特別な意味を付与されてきた。それゆえに、“一大”に関する研究の歩み自体が研究の対象となり得るほど、人民共和国期の政治の影響を強受けても来た。中共“一大”を特別視する状況は、党創立90周年にあたる今年において、またも現出したが、残念ながら、“一大”の重要史料の いくつかは、それへの資料批判がなされぬまま、今なお不確かなテキストが横行し続けている。考証と称する“一大”研究も、実はそうした資料批判をなおざりにした既成テキストの比較・検討である場合が多い。 本報告では、“一大”の重要史料にあたる三つの資料を素材に、それら資料の生成・編纂(改竄)・発表の過程を跡追い、1949年以前、人民共和国初期、改革開放期の三つの時期の“一大”にかんする研究状況・資料状況を俯瞰する。 三つの資料とは具体的には“一大”代表のひとりが書いた「陳潭秋の回想」、張作霖のソ連大使館捜索事件(1927年)のさいに押収されたと言われる「キセレフ(葛薩廖夫)の中共簡史」、そして「1929年12月の董必武の何叔衡あて書簡」である。これら資料の来歴や公表過程をたどることによって、いわゆる中共“一大”に関する考証研究とは、最終的にはそれら資料の編纂過程を分析する研究、つまりは、人民共和国期の中共党史研究の歩みを理解した上での史料学的検討に行き着くことが理解されるであろう。すなわち、中共“一大”研究、あるいは広く中共党史や中国政治史研究に必要とされるのは、「隣家に子猫が生まれた」の比喩(スペンサーの言葉で、社会的意味のない事象を指す。その後、「隣家に子猫が生まれた」に類することは歴史事象ではないという意味に転じて、 浮田和民、梁啓超らに愛用された)を用いるならば、「隣家と共に子猫の数を数える」ことで満足せず、「隣家がなぜ子猫の数にこだわるのか」「なぜ子猫の数え方が変わったのか」にまで目を向けることなのである。
by yukiko_sakaida
| 2011-09-09 08:46
| 月例会・総会案内
|
カテゴリ
フォロー中のブログ
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||