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2012年総会シンポジウムのご案内

会場:ホテルクライトン新大阪日程:3月17日・18日

シンポジウム:中華世界における「憲政/民主」の歴史と現在

 中国の政治経済体制について、東アジアのいわゆる「開発体制」国家がそうであったように、一定の経済発展を遂げた後になんらかの民主化の動きが生じる、という予想が、ある時点までは比較的優勢であった。しかし、中国が世界第二位の経済大国を占めるほどの順調な経済発展を遂げた現時点
においても、そのような「民主化」への動きは実現する兆しさえ見えてこない。昨今の「零八憲章」「ジャスミン革命」の後の民主化運動や人権弁護士への弾圧、といった情勢を見ても、そのことは明らかである。
 ここで、典型的な「開発体制」として理解されることの多い、戦後の台湾に目を向けてみよう。戒厳令下の台湾を、独裁的な政治体制と比較的自由な市場経済が共存する権威主義体制として理解するなら、大陸における国民党政権の「訓政」(=「党国体制」)が、そこにある程度ストレートに引き継がれた、という理解も可能であろう。一方で、第二次世界大戦後の短い期間、「憲政」の名のもとに、より民主的な統治を実現しようという動きが国民党内部から生まれてきたことを忘れてはならないであろう。また、その後の台湾の民主化が、国民党主導の下、中華民国憲法体制の枠組みの中で行われたことにも留意すべきであろう。
 このような、大陸から台湾に受け継がれた中華民国という政治体制における、「訓政」から「憲政」への、必ずしも単線的ではない移行過程について改めて問い直すことは、今後の中華人民共和国における民主化の可能性や、「党国体制」のゆくえなどを考える手がかりにもなるのではないだろうか。
 今回のシンポジウムでは、昨年の「中国における『議会』の可能性」の問題意識を引き継ぐ形で、中国大陸および台湾における、統治のあり方をめぐる連続性と断絶性に着目し、中華世界における「憲政」「民主」の可能性について、改めて検討を行いたい。

報告者: 石塚 迅氏、金子肇会員、松田康博氏
コメンテーター: 中村元哉会員、若松大祐会員

*18日の自由論題は現在募集中です。
by yukiko_sakaida | 2011-11-21 13:49 | 月例会・総会案内
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