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中国現代史研究会2021年総会・研究集会のご案内

会員の皆様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
添付の要領で、2021年総会・研究集会を開催いたします。本年はzoomによるオンライン開催といたします。奮ってご参加ください。返信期限は3月7日(日)です。

なお、今回は当会にとって初めての完全オンライン開催の総会・研究集会となります。研究集会の円滑な運営・セキュリティ保護の観点から、非会員の研究集会参加については今回、会員からの紹介があった方に限らせていただきます。
参加を希望される非会員におかれましては、フォームへのお申込みとは別に、会員を通して総会専用アドレス(k.modernchina[a]gmail.com)宛にご連絡をいただきますようお願い申し上げます。

*そのほか総会に関するお問い合わせも、同上アドレスまでお願いいたします。


シンポジウム 「対日協力」をめぐる人物研究   3 月 13 日(土)
 近年の日中戦争史研究の中でも、民族の裏切り者(「漢奸」)として否定すべきものと見なされる存在を対象とする対日協力政権研究は、イデオロギーやナショナリズムを背景とする「敵か味方か」といった二分法による歴史観では見えてこない歴史の複雑性、多様性に迫る研究を発展させている領域として注目される。
 また、日中戦争期の上海を対象とする研究を中心に、対日協力政権統治下に生きた人々の姿から「協力か抵抗か」という二分法では捉えられない複雑性、多様性を見出そうとする「グレーゾーン」研究が広がりを見せている。これらの研究については、本会でもこれまで議論を重ねてきた(本会会誌『現代中国研究』第 35・36 合併号「特集:日中戦争期における対日協力の諸相」、第 39 号「特集:グレーゾーンとしての戦時上海」、第 41 号「特集:≪東亜同文書院,アジア主義,対日協力政権≫」)。
 対日協力政権について、一方的に日本の「傀儡」とされたのではなく、その主体性や抵抗の側面も含めて実証的に捉え直そうとする研究は、主に汪兆銘政権(1940 年に南京に成立した中華民国国民政府)を対象として進められてきた。近年では汪兆銘政権に限らず他の対日協力政権に関する研究も進んでいるが、複数の対日協力政権の比較検討に加え、個々の対日協力者に焦点を当てる人物研究の必要性も指摘できよう。一口に「対日協力」と言っても、その「協力」のあり方や目指すものは多様であったと考えられるからである。
 このことは「対日協力」に携わる中国人と関わりを持った日本人についても言えることであり、例えば国策への「協力か抵抗か」といった二分法で捉えないという「グレーゾーン」研究が提起する視点は、日本人にも向けられる必要がある。個々の人物が中国における「対日協力」をめぐって何を考え、いかに行動したかを比較検討することで、日本の対中国政策の実態についても一層明らかにすることができよう。
 「対日協力」に携わった人物を一括りにして評価するのではなく、個々の人物研究を積み重ねることにより、「対日協力」とは何であったか、また「対日協力」をめぐる歴史の複雑性、多様性について、更に議論を深めることができるのではないか。本シンポジウムでは、中国人、日本人の双方を視野に入れて考えてみたい。

第 1 報告 関智英会員(津田塾大学)
    「中国第三勢力の対日協力―華北の動きを中心に」
第 2 報告 戸部良一氏(防衛大学校名誉教授・国際日本文化研究センター名誉教授)
    「梅機関の人々―影佐禎昭を中心として―」
第 3 報告 松谷曄介氏(金城学院大学)
    「日中キリスト者の協力と抵抗」


by yukiko_sakaida | 2021-02-03 11:09 | 月例会・総会案内
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